木林文庫コラム

  • もっともっと、りんご

    パリ近郊のシャルトルで開催されているロベール・クートラスの回顧展を見るために、短期間、渡欧した。三年前にエクリから出版したクートラスの作品集『僕の夜』ではカルトと呼ばれる手札カードを原寸大で掲載したが、シャルトルの展覧会にはカルトやテラコッタとともにグワッシュが多数展示されていて、この画家の奥深さに改めて魅了された。いずれ、グワッシュ群も含めた作品集を刊行したいという思いを強くしている。

    木林文庫に洋書はほとんど入っていない。しかし、せっかくの機会なのでせっせと書店巡りもした。
    「庭師」という名のパリの書店で「木にまつわる本を探している。とくにリンゴ本が欲しい」と尋ねると「こんなのもありか」と持ってきたのが”Le Cidre”(シードル)という林檎酒の本。A4変型の上製本で400頁ほどの大著だったけれど、林檎の酒はシードルもカルヴァドスも好きなので躊躇なく購入。
    「魔の山」という名のベルリンの書店では”Äpfel fürs Volk”(直訳すると「国民のためのリンゴ」)をみつけた。こちらは小ぶりだけれど、天と小口が赤く着色され、ノンブルの位置には可愛らしい林檎が配されていて、実に美しい造りだ。

    このコラムの第1回は「りんご、リンゴ、林檎」と題して16冊のりんご本のタイトルを紹介した。
    それ以後集めたりんごの絵本は、『金のりんご』『ひとりぼっちのりんごの木』『りんご』『りんごとちょう』『りんごのたねをまいたおひめさま』『りんごのたび』。他のジャンルが『黄金の林檎』『太陽の黄金の林檎』『林檎学大全』『リンゴの木の上のおばあさん』『りんご畑の12か月』『リンゴ畑のマーティン・ピピン』『千年万年りんごの子』と増えている。たぶん、これからもリンゴの収穫は続くだろう。

    今回でコラムが18回の一括り(木=十+八)となります。
    回を改めて、「木林文庫」の紹介をいたします。

    kirin_18